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イベントレポート

浜フィルEコンサート出演者へのインタビューVol.5

20200423

こんにちは。
今回のEコンサート出演者へのインタビューは第2回、第9回、第27回の公演に出演いただきましたフルーティストの青田純子さんです。

浜松フィルハーモニー管弦楽団(以下浜フィル):今までに3回夢汎ホールで開催致しましたEコンサートにご出演いただきましたが、ご感想をお聞かせください。
青田純子(以下青田):フルートという楽器は、他の木管楽器と比べるとリード※1を振動させることもなく、金管楽器のようにベル※2もないので、音色や音質がホールの響きに影響を受けやすいという特徴があります。
夢汎ホールは響きも広さもちょうど良く、集中して演奏することができ、演奏家自身も音楽を楽しむことができます。
選曲にはこだわり、「動物にまつわる曲」「フランス・イタリアもの」などテーマを決めてオリジナル作品以外からも選んでみました。2回目の時は、ピッコロ※3とフラウトトトラヴェルソ(現在のフルートの前身の楽器で木製です。)も取り入れました。
また、曲目についてのトークを交えながらのコンサートはその準備や集中力の分散が少々難しいのですが、その分お客様にとってはアットホームな雰囲気になるので和んでいただけ、曲についての理解も深まるようで、やってみて良かったなと思います。
浜フィル:フラウトトラヴェルソはなかなか間近で聴く機会の少ない楽器ですので、お客様からの反響も大きかったですね!

浜フィル:皆さんにお聞きしておりますが、フルートを始めたきっかけを教えて下さい。
青田:私はまず3歳でバレエ、4歳でピアノを始めました。他にもスイミング、書道など習い事はたくさんやらせてもらったのですが、どれもそこそこのレベルでした。
音楽自体は好きだったので、何か楽器を続けたい気持ちはありましたが、ピアノではないなと感じていたのです。
そんな小6の時にとあるテレビ番組で同じくらいの歳の女の子がフルートを吹いているのを見て「私もこれを吹きたい!」とピピっと来てしまいました。それと同時期に、小学校の保健室の若くて可愛らしい先生が「フルートをやってみたいのよね」と楽器のカタログを見せてくれたんです。そこには銀色に光り輝く素敵な楽器が載っていました!数ヶ月間の説得ののちにまず楽器を買ってもらいました。その後中学で吹奏楽部に入り、そこで知り合った同級生が在団していた地元のジュニアオーケストラにも入団しました。そこでは音大進学を目指している人が多く私もすぐに目指すことになりました。

浜フィル:そして音大卒業後、ドイツでフルートを学ばれ、音楽活動をされていたという事ですが、ドイツでの音楽活動と日本での音楽活動で違いなど感じることはありましたか?
青田:ドイツでは5年ほどの留学期間の後、音楽教室等で教えつつの演奏活動を10年ほど、と15年の在独でした。
ドイツの音楽大学は全て公立で、学費はほぼ無料でした。地元のオペラも当日席が空いていれば学生は7、5マルク※4(約500円)でどの席ででも観ることが出来、コンサートのチケットは全て半額、電車は学生証があれば乗り放題でした。市立の図書館にも豊富な楽譜が置かれていました。そんなわけでお金がかからず素晴らしい勉強をさせてもらえました。
仕事を始めてからは大変なことも多かったですが、一般の方にも「音楽家」と言う職業が広く認識されていて尊敬される職業だったことは驚きでした。
芸術家に対する国の支援等もあり、音楽に限らず文化や芸術が深く浸透していることを実感しました。
浜フィル:ドイツは偉大な作曲家、音楽家を多数輩出している国ですが、その背景には芸術活動を支える環境も充実しているのですね。

浜フィル:最後になりましたが、今後Eコンサートで取り組みたいプログラムなどはありますか。
青田:電子ピアノを使うことでできる多彩な音色の変化を生かし、チェンバロの音色でバロック時代の曲(バッハやテレマン※5など)をもっと取り入れたいですね。素敵なフルート作品がたくさんあります!
日本ではバロック作品の演奏機会が少ないと感じるので、みなさまにも是非聴いていただきたいです。
また、トリオなど室内楽もやってみたいですね。

※1リード(葦)…葦で作られたオーボエ、クラリネット、ファゴットなどの木管楽器に装着し、息を吹き込み、音を出すためのパーツ。
※2ベル…管楽器の音量を増大させる為に装着されている朝顔状のパーツ
※3ピッコロ…フルートの半分の長さで、オーケストラで使われている楽器では最高音を奏でる楽器。通常フルート奏者が持ち替えで演奏する。
※4マルク…ユーロ導入前のドイツで使われていた通貨。
※5ゲオルグ・フィリップ・テレマン(1681-1767)…J.S.バッハと同時代に活躍したドイツの作曲家。多作家で当時はバッハよりも高い人気があった。

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豊かな音楽知識と情熱的な音楽を奏でる青田純子さん(フルーティスト)へ
インタビューさせていただきました。青田純子さんご協力ありがとうございます。

=プロフィール=
青田純子 フルート

群馬県出身。武蔵野音楽大学卒業、卒業演奏会出演。ドイツ・ロベルト・シューマン音楽大学、ならびに同大学院修了。同大学教育科でも学ぶ。
日本フルート協会主催デビューリサイタルに出演。練馬文化センター新人オーディションにて優秀賞を得て受賞者演奏会にて東京ニューシティ管弦楽団とニールセンのフルート協奏曲を共演。パリUFAM国際音楽コンクール入賞。ドイツで2度のソロリサイタルを開催し、ヨーロッパ各地でも多数の演奏会に出演。
2011、12年には在デュッセルドルフ総領事館後援のもと「東日本大震災チャリティーコンサート~10人の日本人音楽家による~」を主催。
2011年、在デュッセルドルフ総領事館主催の「天皇誕生日記念レセプション」にて演奏。
15年間の在独を経て、現在浜松市在住。ジュニアオーケストラ浜松の指導員として後進の指導にあたるほか、浜松、静岡、東京、京都など各地でソロや室内楽、オーケストラを中心に活躍している。また帰国後はフラウト・トラヴェルソ(古楽)の演奏にも力を入れている。

青田純子さんの公式HP是非ご覧ください。⇒https://flutejunko.wixsite.com/flutejunko