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イベントレポート
浜フィルEコンサート出演者へのインタビューVol.16
こんにちは。
今回のEコンサート出演者へのインタビューは、第23回、第36回の公演に出演いただきましたピアニストの栗田竜次さんです。
浜松フィルハーモニー管弦楽団(以下浜フィル):今までに2回夢汎ホールでのEコンサートにご出演いただきましたが、ご感想をお聞かせください。
栗田竜次(以下栗田):初めて出演させていただいた際は、選曲がもともとピアノで伴奏される曲が多かったことや、他のピアニストの皆さんも述べているように、自分の音が後ろから飛んでくるという状況に慣れるまでに時間がかかり、音量のバランスや共演者と音を出すタイミングなど戸惑うことも多かったです。2回目になると感覚的にそのバランスやタイミングにも慣れ、電子ピアノの音色を楽しむ余裕も出てきました。
特に音色が変わった時には自分で弾いているのにまるで聴衆としてオーケストラを聴いているかのような感覚になり、演奏者側も普段味わえない大変貴重な場ではないかと思います。
浜フィル:2回目の公演で演奏されたヴィヴァルディ作曲のフルート協奏曲『ごしきひわ』は電子ピアノではなく、弦楽アンサンブルの伴奏での演奏を聴いているようでした。
浜フィル:皆さんにお聞きしてきましたが、栗田さんがピアノを始めたきっかけを教えて下さい。
栗田:私が先生のもとでピアノを習い始めたのは小学4年生の頃でした。それまでは学校の先生や友達がピアノを弾く姿を見てなんとなく独学で真似て弾いてみたり、自分の耳で覚えたメロディに勝手に伴奏を付けたりして遊んでいた程度でしたが、それでは楽譜も読めずもっと色々な曲が弾けるようになりたいと思うようになり両親に頼み込んで近所のピアノ教室に通い始めたのがきっかけです。
浜フィル:小学4年生まで独学というのは凄いですね!
続いての質問ですが、Eコンサートでは、フルートとの共演で出演いただいておりますが、フルート奏者と演奏する際に心がけていることはありますか?
栗田:フルートは自分にとって他の楽器の中でも最も共演する機会の多い楽器なため、特に親しみを感じています。
よく他の方からは「フルートの伴奏って難しくない?」と聞かれることもありますが、いつも喜んで引き受けています。フルートはフランス物の作品が主であることや、音域や音量的にもピアノとの音量バランスがかなり繊細に要求されます。そのためフルート奏者の方と共演する際には自分の音が相手の音とパステルカラーのような透明感のある色になってうまく混ざり合うようなイメージを持って演奏するように心がけています。時には濃くなったり淡く薄くしたりと、その曲の中で一緒に濃淡を作り上げていく過程は本当に楽しい時間です。
浜フィル:最後に、今後Eコンサートで取り組みたいプログラムはありますか?
栗田:オーケストラパートを弾くような作品にたくさん挑戦できたらと思っています。電子ピアノの特色である音色を変えられるという利点を利用し、大編成のオーケストラを聴いているかのような演奏ができたら嬉しいです。また、あえて電子ピアノから出る様々なピアノの音色を使って吉松隆作曲の「デジタルバード組曲」※なども演奏してみたいです。
※吉松隆作曲の「デジタルバード組曲」…吉松隆は1953年東京で生まれの作曲家。作曲は松村禎三氏に師事し、「デジタルバード組曲」(1982)は甲斐道雄氏によって委嘱、初演された。作曲者の解説によれば、機械仕掛けの鳥デジタルバードを主人公にした架空のバレエのための架空の音楽からの架空の組曲という設定。シリアスよりはポップ、アナログよりはデジタルという発想で、現代音楽からの離脱を軽やかな鳥のステップになぞらえた最初の作品に当たる。
奏者に寄り添い引き立てるように演奏される栗田竜次さん(ピアニスト)へ
インタビューさせていただきました。栗田竜次さんご協力ありがとうございます。
=プロフィール=
栗田竜次 ピアノ
独学でピアノを始め、10歳より指導を受ける。
浜松学芸高等学校音楽科、東京音楽大学音楽学部器楽専攻卒業。
大学在学中より県内を中心に演奏活動を行い、ソロやアンサンブル、伴奏ピアニストとして様々なコンサートに出演。
2009年12月、浜松福祉交流センターにてデビューリサイタルを行う。2014年9月には浜松市民オペラのコレペティトールとして、宮川彬良氏指導のもと新作オペラ「ブラックジャック」プレイベントに出演し、好評を博す。
これまでにピアノを山﨑恵子、下田幸二、川上昌裕の各氏に、ピアノデュオを越村紅氏に師事。現在、県内を中心に演奏活動を行っている。浜松唱歌と童謡を愛する会、男声合唱団オーロラ、すずめの学校合唱部、浜松バッハ研究会伴奏者。