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イベントレポート

浜フィルEコンサート出演者へのインタビューVol.15

20200529

こんにちは。
今回のEコンサート出演者へのインタビューは、第30回、第39回の公演に出演いただきましたヴァイオリニストの木村薫子さんです。

浜松フィルハーモニー管弦楽団(以下浜フィル):今までに夢汎ホールで開催致しましたEコンサートに2回ご出演いただきましたが、ご感想をお聞かせください。
木村薫子(以下木村):最初浜フィルで、なぜわざわざ電子ピアノと楽器とのコラボを推奨するのだろう?Eコンサートってなんだろう?でも、なぜかデュオ演奏しながらいつも以上に自身も寛いでいるなぁ。というのが最初の正直な感想でした。
それから他の方のEコンサートをお聴きしたりしたあと、2回目のピアノトリオでのEコンサートを終えてみて、これは普通のコンサートとは目指しているところが少し違う、特別な企画なのだと、ようやく気付かされました。
通常、生の楽器で音を出すと自然に聞こえてくる音と別に、出した音に共鳴し響く倍音という揺らぎのある複数の響きがうまれます。それを浜フィルでは非可聴音と呼び、野山で聞こえてくる小鳥のさえずり、風でさらさらとそよぐ葉々のこすれる音、波の音のなかにも多く含まれるそうです。これらは人の皮膚や骨などをつたって脳に届き、脳を活性化するという知見もあり、医療や介護のセラピーとして心身の症状改善が期待される非可聴音に特化して、Eコンサートが続けられていることを知りました。
前半40分は、特許もいただいた非可聴音を出せるHHSS※1に接続した電子ピアノと生楽器とのデュオ。電子ピアノは生のピアノの響きとは別物で、その比較はできませんが曲によってピアノの音を違う音、例えば弦楽合奏にも替えられますし、また教会のパイプオルガンの音に替えれば、天井高くから響いてくるような重厚な響きの非可聴音をたっぷり響かせられるのが魅力だなと思いました。
後半は、非可聴音(倍音)の省かれていないSACD※2(普通のCDは倍音が省かれているそうですね。)を用い、立体的音響を作り出す上記のオーディオ装置から聴こえてくる名だたる世界のオーケストラの圧倒的スケールの演奏を、海外の本場のコンサートホールで聴いているような気分に浸れました。
お客様は、仕事帰りに駆け込みで来られる方、もしかしたら日頃は介護をしているかもしれないご婦人とそのお母さま、ご近所にお住まいで、散歩がてらご夫妻で来られる方々。「月2回のコンサートが楽しみでいつも来ています。」とコンサートの合間の歓談で話してくださる方々の顔は、とても晴れやかだったのが印象的でした。

浜フィル:ご感想ありがとうございます。それでは、皆さんにもお聞きしておりますが、木村さんがヴァイオリンを始めたきっかけを教えていただけますか?
木村:物心つくかつかない頃に、九州熊本の人吉の方に住んでいた音楽好きの両親が、東京から演奏に来て下さった久保田良作氏率いるジュピタートリオに感銘を受け、自分の子供もヴァイオリンを弾いてくれて、こういう演奏をしてくれたらいいなあ。とその後すぐ小さなヴァイオリンを買ってきて、地元のスズキ・メソード音楽教室※3に通わせるようになったのが最初だそうです。

浜フィル:木村さんは現在、県外に住まわれていて、演奏会の度に浜松へお越しいただいておりますが、浜松での演奏会で感じることはありますか?
木村:まず、浜松国際ピアノコンクールなども開かれるアクトシティ浜松のホールは、全国のたくさんの方々が「いいホールですね!」とおっしゃいます。浜松ゆかりで集まる浜フィルメンバーはもちろん、地元の足を運んでくださるお客様も、この素晴らしい会場を活用できることに誇りを持っておられると感じます。また、世界に名を馳せているピアノのヤマハ、カワイのお膝元でもあることの気概も、皆さん無意識のうちに持っておられる気がします。そういう意味でも、音楽家たちの成長と発展を見守って下さる心ある方々のエールを、浜松での演奏活動の中でいつもひたひたと感じています。
コロナ禍という未曾有の事態には入りましたが、他所にはない独特の土壌が、地元の音楽の熟成を後押しし、応援される側と応援する側の連携が、これからもより良い方向に発展していくことを願っています。

浜フィル:今後Eコンサートで取り組みたいプログラムなどはありますか。
木村:そうですね。
非可聴音による癒しをお客様は無意識に、あるいは意識して来られている方もおられることを、私は皆さんとお話しながら感じましたので、願わくば教会の聖堂で非可聴音が魂と共鳴するような音楽。日常の中で知らず知らずに積もる、晴れない気持ちに寄り添うような沁み入る音楽を準備していけたらいいなぁ。と考えています。できるかな?笑
努めます。

最後に、今年7月末にこの夢汎ホールで予定していた室内楽コンサートを12月27日午後に延期いたします。浜フィルのメンバーの方も何人か出演しますので、よろしければ心にお留め置きください。
まずはコロナの収束を願いつつ。祈

※1 HHSS・・・HHSSについて【将軍堂株式会社】(こちらをご覧ください。)
※2 SACD・・・Super Audio Compact Discの略。CDより繊細な音の録音・再生が可能。楽器個々の音質やオーケストラなど集合体の存在感、録音空間(コンサートホール、スタジオなど)の広がりや奥行きなどがさらにリアルになっている。
※3 スズキ・メソード音楽教室・・・創始者である鈴木鎮一氏が、1946年に長野県松本市に「松本音楽院」を設立したことに始まる。母語が育つときと同じように、生活の中に良い音楽が溢れる環境をつくることから始まり、スズキ・メソード(教則本)で学ぶヴァイオリン教室。

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いつも真摯に音楽に向き合っていらっしゃる木村薫子さん(ヴァイオリニスト)へ
インタビューさせていただきました。木村薫子さんご協力ありがとうございます。

=プロフィール=
木村薫子 ヴァイオリン

桐朋学園大学卒業。浜松フィルハーモニー管弦楽団登録団員、アンサンブル・ムジーク浜松団員、ルナトリオのメンバー。自主企画のソロリサイタル、トリオコンサートを周期的に開催。今年1月オイリュトミストはたりえ氏の書き下ろし舞台「黒光」に出演し、オイリュトミーのはたりえ氏、笛の雲龍氏、語り部のありす氏の各氏と初共演。